近年、国土交通省は、公共工事の積算基準を見直し、適正利益を根底から揺るがす程の大幅な改正を加えました。東京都を除く、道府県は公共工事の財源ともなる特別地方交付税の税収減に伴い、即、右にならえの採用となりました。業種ごとに被害の大小は異なりますが、今後の公共工事の最大の魅力とは、高額契約であっても受注先が倒産しない保証のみとなり、適正利益の確保ともなれば、民間エンドユーザー以下になるのが確実となりました。民間工事の出来高請求とは異なり、受注すればする程、立替勘定が発生する公共工事の適正利益はダンピング入札などに加え、積算基準の改正が、中小零細建設業者を自転車操業のスタートラインに並ばせようとしています。

 電気工事業を一例に挙げれば、俗にA材(二次製品)ともいわれる、屋内外キュービクル、配分電盤などの特注品は、最低3社から見積を取り寄せ、最低価格の6掛けを計上し、加えて諸経費がゼロ(0円)となりました。それでなくても、B材(一次製品)が1割以上の不足にもかかわらず、それを補給するA材の諸経費が廃止され、最低価格の6掛けで仕入れが可能な物ばかりではありません。
 特別地方交付税には無関係な東京都某特別区でも、2003年度より国交省の積算基準を採用し、前年まで最低でも2,500万以上で落札した某工事(事前予定価格なし)が2,000万円(後日業界紙掲載)を割り、身ぐるみを剥がされ裸同然の入札結果となりました。
 コンサルタントの設計精算を鵜呑みにしたとしか思われぬ、現実無視の設計積算図書をもとに、なぜ現場検証を行わないのでしょうか。たとえ現場検証を行っても担当監督官に、その知識も技術もないのが現実かも知れません。

 業種により異なりますが、予定価格を事前公表する東京都の公共工事の1割が、設計積算相違により、10〜15%額が減額公示されている場合もあるそうです。予定価格自体を検証せず、ローアリミット極限で応札し、くじ運で契約の締結を得た業者こそ、近い将来確実に、倒産廃業を強いられることになります。
 このような最悪の環境の中で、最も危機感が薄いといわれる建設業界の経営者は、真に必要とする実行予算の作成も、ままならない状況ではないかと思われます。
 建設業者の法定保管業務である、作業報告書さえ従事員に記載させる指揮権も持てない経営者がいかに多いかが現実です。それを強調するように2004年8月にISOの環境、品質管理に加え、財務が追加登用されたのも時流といえます。

 今後の建設業の動向は、自社の現実の原価管理を徹底熟知され、合理化と省力化を計り、会得した改革のスピードを戦略とし、例え20%のダンピング受注でも適正利益の確保を可能にする同業の出現こそが最大の驚異となります。
 累積赤字や出血受注の穴埋めを可能とする好条件の受注がある可能性もなく、現業員の高齢化は著しく生産性を悪化し、退職させようにも退職金の捻出もままならない現状の建設業界において、絶対に赤字を出さない会社作りの実現など、知的財産の取得にアクションを起こす最終段階に来ているのではないでしょうか。