
弊社は建設業会計原価管理連動システム「金次郎」を媒体に、コンサルタントを業務として展開している関係上、関東地方の小零細建設業者に原価三表に拘わる実体調査を行いましたが、実行予算管理表、未成工事進捗表、工事台帳等は殆ど作成されておらず、あるにしても実践には程遠く、執行部命に依りただ作成しているに過ぎない代物ばかりです。
会計業務もそれは酷いもので、商的工業簿記は無論のこと、全てがハチャメチャで、まともな会社は一件もありません。実体の無い未成工事支出金、完成工事未収金が可成りの計数を示しております。経営事項審査審査申請に鑑み、やむを得ない事情は痛いほど理解できますが、反面命取りともなる長期借入金が膨大となっております。
原因の追従にも税務署申告が目的の会計業務であるが故に検索のしようがありません。さりとて今後の受注に於いて、長期借入金の返済を可能とする好条件は一切ありません
建設業専門会社に、非専門の経理屋さんが会計業務を行う以上、当該決算書の建設原価報告書は商的工業簿記に類似し、非現実的な損益計算書が作成されます。受注しなければ経費が捻出せず、すれば赤字の補填が出来るよの考えが、延命を招いた結果であり、手の施しようもありません。
建設業のトヨタを目指し、コストダウンを計るにしても、基本となるべき会計業務が販売業の商業簿記ではコストダウンは不可能です。建設業経営の必須条件である財務三表、原価三表の作成には、何はなくてもの作業日報が利益も宝庫であり、売上漏れ検収元帳でもありますので、これを除外して建設業会計の羅針盤はなく、経営そのものが成り立ちません。
一言に作業日報が起因する工事別賃金手当の抽出と申しますが、遅刻・早退・外出・時間外・深夜業、夜業明休、明休出勤、休日出勤、欠勤(有給の有無)の賃金手当等、何れにせよ支給額に合致する計算式の構築が絶対条件となります。その作業日報さえ満足にない会社が大半であり、現業に於いても50歳未満の勤労者は皆無に等しく、10年後には技術者不足が祟り、どうにもならない現象を生みます。
建設業者の大半は、何故に製造業の工業簿記から主勘定の仕掛品(未成工事支出金)、当期製品製造原価(当期完成工事原価)を取り除き簡素化を計った「商的工業簿記」で会計業務を行うのでしょうか…。商的工業簿記は、原価計算から得られる数値を複式簿記に組込ないことから「不完全工業簿記」と謂われております。
業種に適合する簿記の選択を誤ると、現実の原価計算が損なわれ、非現実の収益に加税される欠陥が生じますが、現行の税法は業種が異なる簿記の誤りに規制はありません。
建設業簿記の特徴は、未成工事支出金、完成工事処理後の当期完成工事原価、建設仮勘定の三大主勘定に補助科目を有し、前受金、未成工事受入金、前渡金、未成工事支出金等は、工事別、主勘定別補助科目毎に分類仕訳を行う原則があります。併せて、原価科目には、旧建設大臣の認定科目の制約があり、建設業簿記特有の工事別賃金の抽出等があり、集計業務は並大抵ではありません。
建設業簿記特有の知的財産所有者は例外として、コンピュータの出現に依り、工事別賃金手当の抽出と、建設業簿記特有の計算式を構築することにより、経営上最も重要な財務三表を始めとし、実行予算管理表、未成工事進捗表、工事台帳兼損益計算書等の原価三表がリアルタイムに抽出可能となる会計ソフトやシステムが販売されるに至っております。
高名なるソフト会社が開発した原価管理ソフトやシステムの大半は、商的工業簿記で販売管理の改造版であり、日報を貼り付けたり、部材名、消費量、機械リース名、台数、外注名、人工、作業名等を日報と称する帳票に、連日記載し集計するようですが、自分の作業日報すら満足に書けない小零細建設業従事者に使いこなせる筈はありません。
己の従事した現場名は辛うじて…。主なる作業名も書けない現場代理人が作成する実行予算管理表は、余程のことが無い限り全て赤字の連続です。そんな人達の集団が小零細建設業であり、人材教育者育が育たないのも現実です。
※小零細建設業社が必ず実行すべき利益向上3つの条件
1. 商業的工業簿記を建設業簿記に…理想は財務管理会計
2. 一定以上の契約金額以上は必ず実行予算管理表の作成…月次起工額の追従(経理業務)
3. 契約金額から管理販売費を削減した実行予算で完工可能な訓練及び知的財産の確保
1960年に1300万人もいた農業従事者は、2004年には260万人に減少し現在に至っております。需要と供給、輸入等が要因と思われがちですが、当事者自身も生き残る努力を怠ったことは否めません。時代は変貌し、農業従事者のお孫さんがパン食の時代です。平成18年末の建設業従事者は約500万人、貴方も農業従事者同様、生き残る努力を怠ると飛んでもないことになりますよ…。
代表取締役 宮城弌寶