1. 建設業簿記の共通原価とは
 建設業が本業にも拘らず、大半の建設業者が製造業の工業簿記から主勘定の仕掛品(未成工事支出金)、当期製品製造原価(当期完成工事原価)を取り除き簡素化を計った(商的工業簿記・不完全工業簿記)で建設業の会計業務を行っております。税法上、何業も収益か費用かが申告基準である故に、特に業種毎の損益計算に類する仕訳伝票の分類は、本業外の税理士には理解を超える業務であり、顧問税理士に全てを任せること自体が、倒産廃業終着駅への特急列車の乗客となります。
 販売業の商業簿記と建設業の建設業簿記との最大の相違点は、発生主義の原則と、且つ、未成工事支出金・当期完成工事原価・建設仮勘定の三大主勘定に補助科目があることです。
 現場経費に類する仕訳伝票は、工事毎の分類は歴然であり、加えて、共通原価と称する仕訳伝票の作成が不可欠であります。共通原価には直接現場経費と間接現場経費等二通りの仕訳があります。共通原価の直接現場経費の工事名は、共通原価と限定され、直接現場経費には間接現場経費の補助科目の登録は不可となっております。


2. 共通原価の直間現場経費とは

【主勘定が未成工事支出金、当期完成工事原価、建設仮勘定の補助科目】
材料費
従業員賃金手当
従業員賞与
退職金
法定福利費
福利厚生費
外注費
仮設経費
機械等経費
機械等経費
工具・消耗品費
労務管理費
設計・施工図費
運搬費
減価償却費
租税公課
地代家賃
保険料
事務用消耗品費
動力用水光熱費
通信交通費
交際費
修繕維持費
補償費
雑費

 緑色の補助科目は共通原価の直接現場経費を表し、口頭及び文書で契約が締結後の現場経費から、工事台帳等の記載を原則とする建設業は、会計業務に於いても必ず工事毎に分類仕訳を行う必要があります。
 共通原価の直接現場経費とは、設計積算現調、設計及び積算図の作成、並びに積算等の賃金手当、現調測量等のスケール代(工具・消耗品費)現調交通費・作業車等の駐車料(通信交通費)車検時の重量税等の登録印紙税(租税公課)トレッシングペーパー・感光紙類(事務用消耗品)現場事務所以外の本社等に持参発送した中元歳暮用品は、原則として共通原価直接現場経費の交際費になります。
 とかく売上に貢献しない現場経費は、共通原価直接現場経費配賦理論で契約金額の3.0%〜4.0%の平均値率額を工事別、補助科目毎に、未成工事進捗表、工事別損益計算書、工事台帳等に完工処理時、当該仕訳伝票の自動発行、画面検収、帳票プリントに併せ、金次郎独自の計算式で瞬時に案分配賦します。 同じ売上に起因しない前期完工高の瑕疵担保の修繕費は、工事毎に前期損益修正損で仕訳をするのを原則としております。

 茶色の補助科目は、共通原価の間接現場経費を表し、工事別、補助科目毎に未成工事進捗表、工事別損益計算書、工事台帳等に完工処理時、当該仕訳伝票の自動発行、画面検収、帳票プリントに併せ、金次郎独自の計算式で瞬時に案分配賦します。
共通原価間接現場経費の計算式は、

 高額順位は、従業員賞与、退職金、法定福利費、減価償却費が上位を示しております。共通原価間接現場経費の工事名は、共通原価と限定され、直接現場経費の補助科目の登録は不可となっております。

 銀行業には銀行簿記・販売業には商業簿記・製造業には工業簿記・建設業には建設業簿記と業種毎に簿記が異なるのが原則であり、簿記の選択を誤ると黒字会社が赤字となり、赤字会社が黒字となる現象が容易に発生しますので充分に注意が必要です。
(建設原価の主勘定・補助科目は旧建設大臣認定勘定科目で仕訳するのが原則です)


代表取締役 宮城弌寶