第一章:それは誰がなし得るのか…。

 皆さん今日は、ご紹介を賜りました、特定非営利活動法人 日本建設業簿記研究所の宮城でございます。本日は、「究極の原価管理と経営コックピットを目指して」を表題にセミナ−を開催させて戴きます。建設業は、部材、数量、労務費等に粗利を加算し、諸経費迄を請求する特権業種であるばかりではなく、長年に亘り粗利30%強が可能であった為、原価管理そのものが不要であったのかも知れません。


全関東電気工事協会青年部会の様子
電気工事会館において 2008年6月20日開催
 20世紀末にはインタ−ネットの出現に依り建設破格の情報公開、公共工事の談合崩壊、指名競争入札の廃止、一般競争入札〜電子入札の導入、最低制限価格の変貌(指名入札20%〜公開入札30%)不的確業者等との競争が、未曽有の建設不況を起因とし、建設業経営に原価管理が必須条件になりました。

 製造業は円高が起因し、既に原価管理(システム)は対応済みであり、昨今はコストダウンに企業の存亡を賭けております。製造業に遅れること20数余年、100年に有無の時代の変革が、製造業同様に原価管理の起因となることを念じて止みません。

 日本の建設投資額は、ピ−ク時で84兆円−60万社−600万人(一社平均10人)であり、1999年には、38兆4千5百億円−57万社−570万人、2002年のいわゆる飛んだ飛行機の小泉内閣に依り、毎年3%の減少となり建設業の崩壊を招いております。最も不思議な現象は、投資額の減少にも拘わらず、それに比例して何故に業者が減少しないのでしょうか…。(日本の就業従事者は、約、6000万人)

 1960年代日本の農業従事者は、約、1,300万人、43年後の2003年には、260万人(▲10,40万人)に減少し現在に至っております。中国から農作物等の輸入もやむを得ぬ事情が此処にあります。この儘では日本の基幹産業である建設業も農業同様に衰退する傾向は免れません…!。

 ひとえに建設業の原価管理と称しますが、各社各様に作成される担当者毎の工事別原価管理帳票は、現在市販されているソフトやシステム同様に、全くのアバウト(出鱈目)であり、その正誤性の精査には、一対何に対比させ、何方に指導を受けるのが適正的確となるのでしょうか!
 帳票名は異なりますが、経理担当者が作成する全ての財務帳票は、税法上の制約があり、預貯金等の残高相違は、金融機関毎の照合表と付合せが可能であり、精査する参考資料になりますが、各社各様に作成される原価管理帳票は、現在市販されているソフトやシステム同様に整合性を対比する相手帳票を理解されておりません!。

 建設業の原価管理とは、直接工事費、仮設工事費、共通仮設費、現場管理費等の直接現場経費に、共通原価の直接費、同、共通原価の間接経費配賦額(未成工事進捗中は、間接現場経費配賦額と称し、完工処理後は、共通原価間接経費配賦額と称す)等の五大現場経費を工事別、款項目順に分類計上する原則があります。

(教材12頁:従業員賃金手当集計表、15頁:共通原価賃金手当集計表、18頁:従業員賃金手当工事別残高表、20頁:共通原価間接現場経費、22頁:同、直接現場経費集計表参照)

 未成工事進捗中の工事別原価管理帳票は、貸借対照表(合計残高試算表)の棚卸し資産である未成工事支出金が対比相手帳票となり、完成工事高(売上高)の計上後は、未成工事支出金振替完工処理後の損益計算書が対比相手帳票となりますので、当期(当月)建設原価欄の補助科目毎に一円の相違もなく、合致する手法を学ねばなりませんし、違算がなければ完璧な原価管理帳票の作成手法を有する会社となります。

 製造業と異なる小零細建設業に、原価管理の手法を有する人材は、皆無と申して過言ではありません。原価管理に類似する主婦の家計簿は、建設業者に勝っても劣らぬ程の高精度で勤勉であります。赤字が発生すれば自己借金に喘ぐであろうし、各社各様に作成される原価管理帳票は、自己責任の赤字でも担当者毎の借金になることは先ずありませんので、精度が違う要因は此処にあるのかも知れません。
 昔から建設業には、怪我「痛い思い」と弁当はてめえ持ち、赤字と借金会社持ちと称する格言が御座います。

 その要因でもある会計業務(経理)の由来とは、明治維新に中国から大陸式の商業簿記が渡来し、いわゆる八百屋、魚屋さんと同様に現金主義の商業簿記が、現代建設業の会計業務と主婦の家計簿の発端であります。

 富国強兵に依り、英国から長野県安曇野に生繭から絹糸を抽出する自動織機の輸入に併わせ、製造業の工業簿記が渡来しました。昭和初期に工業簿記から建設業簿記が分離承認され、現在の簿記の主流は、英米式の発生主義が原則であります。

 昨今は、林業、農業、漁業簿記が開発され、建設業同様に原価科目を有する専業簿記が販売されるに至っておりますが、小零細建設業の建設財務(経理)の指導者である顧問税理士は、本業以外の建設業簿記を理解するには至りません。

 建設業でもある私共は、建設業経営の必須条件である、工事別原価管理と、企業会計の一元化を研究開発、必要極まる全ての工事別原価管理帳票を、建設財務(経理)の副産物として、リアルタイムに画面検収、帳票抽出を可能とする手法を考案(特許)、そのノウハウを一般公開致しております。

第二章:建設業の原価管理の手法とは…

 建設業の原価管理には、担当者毎に作成する現場型と経営型の二通りの手法があります。先ず現場型の原価管理を代表する実行予算管理表、或いは着工から竣工迄の工事別現場経費を一覧式に集約する、工事別原価管理帳票等の作成手法から、セミナ−を進めてまいります。

工種別実行予算管理表である教材23頁を開いて戴きますと、左側の直接工事費欄に取引先毎の電線・電纜・諸資材等の材料費、同、建設原価員の賃金手当、同、外注費、同、仮設経費、同、共通仮設費、同、現場管理費順に現場代人賃金手当、補助代人賃金手当等が款項目順に記載されております。その中心右半分の工事原価内訳欄は、款項目毎に月次起工額が追従し計上されております。

 工種別実行予算管理表は、経営管理の必須帳票でありますが、現場型の実行予算表とは異なり、積算原価の電線・電纜・諸資材等の数量、単価等の積算損失は、今後の積算担当者の参考資料とは別にして、屋外キュ−ビクル類、配分電盤及制御盤類、端子板及ダクト類、照明器具類、拡声装置類、配線器具類等の仕入総額が工事原価で収まれば、此処の数量、単価等の実行損失は、経営上の必須条件ではありません。

 左側の工種別実行予算総括表の款項目は、右側の工事原価内訳欄の款項目毎に、月次起工額が追従し、竣工時に3%以上の違算が生じる実行予算管理表では、先ず実践には使えません。工事担当者毎のドンブリ的な原価管理帳票の作成は、ただ非生産時間の浪費にかまけ、やらないよりは益し程度の錯覚経営の慣習になり、ドンブリ勘定がお鍋勘定に変貌するだけで、生涯に得られる営業利益等、取り返しの付かない損失を招きます。

 未成工事進捗中は、貸借対照表(合計残高試算表)棚卸資産の未成工事支出金、工事竣工後は、当期完工原価が損益計算書の補助科目毎に一円の相違もなく合致する手法を習得しなければ、建設業そのものが成り立たない時代が到来しました。
(教材26頁:工事別未成工事進捗表、28頁:合計残高試算表の貸借対照表、29頁:損益計算書(A)、30頁:損益計算書(B)参照)

 建設業の粗利とは、完成工事高(売上高)から工事原価を相殺した売上総利益を粗利と称し、請負金額以上の工事原価を「持ち出し」、一般管理費及び販売費(以下管理販売費)が売上総利益を超過すれば営業損失(赤字)と称します。

 一概に建設業と申しましても、土木工事業、建築工事業、設備工事業等と許可業種毎に工事原価が異なりますので、明治維新後の電気工事業、管工事業、空調換気工事業等を設備工事業と称し、管理販売費迄を含める粗利とは、如何程の率が妥当と思われるかお答え下さい。

 今後の建設業の動向は、工事原価の確率と、如何にコストダウンを図れるかに自社の存亡が掛っております。会社の金品は如何なる金額にも拘わらず、貸借対照表、損益計算書等に直接反映しますので、その値を参考に、自社の完成工事原価(以下完工原価)の至近数値を追従し解析する必要があります。

 毎月僅かでも営業損失を招かぬには、確実に粗利が3割(30%)強である旨を示しております。残念ながら皆さんは、自社の完工原価の至近数値(公共工事=予定価格未満)が非解析の為、ご理解を得られぬ数値かと思われます。設備工事業の粗利3割(30%)の抽出とは、工事原価を100万円に仮定し、30%を乗算(×)しますと、契約額が130万円、外掛け計算と内掛け計算の相違に依り限界利益が39万円になり、9万円の損失を招きます。

 契約額の3割(30%)とは工事原価に3割を乗算(×)するのではなく、0.7で除算(÷)しますが、且つ、民間工事の売上値引戻り高、官公庁の公共工事の歩切り等も考慮する必要があります。推定原価100万円を0.7で除算(÷)しますと、契約金額が 1,428,571円、3割引きの7掛けとは999,999円になり、工事原価に直近合致しますので、工事原価の粗利の抽出は、乗算(×)するのでなく除算(÷)しなければなりません。

 設備工事業の粗利3割(30%)の解析とは、年間完成工事高(単件、複数同)を1億円と仮定し、弊社顧問先の平均共通原価の直接費は、完成工事高(売上高)の3.85%= 385万円、共通原価の間接経費配賦額は、完成工事賃金手当(以下完工賃金手当:除く未成工事賃金手当)を2千5百万円と推定し、40.5%=10,125千円、分母が異なる為、完成工事高で再除算し、10.125%、管理販売費の18.0%を加算して、31.97%となり、1.97%=197万円の損失を招きます。

 何故に管理販売費を18%にしたかと申しますと、国土交通省の実体調査に鑑み、全国、約、17万社の一般競争入札参加資格者である、中小建設業者管理販売費の平均値を18%と解析しております。地方自治体が発注する、公共工事(指名競争入札)の最低制限価格(予定価格)の8掛には(地方分権上異なる)それなりの根拠を有しております。時代の変革は、東京都財務局の最低制限価格を80%〜85%に変革させるに至りましたが…。

 残念ながら今時、粗利3割(30%)の仕事はなく、精々20%前後が現状と思われます。皆様の工事原価には、共通原価の直接費、同、間接経費配賦額が欠落していると思われますので、敢えて粗利30%の必要性を強調しました。共通原価の直接費、同、間接経費配賦額は粗利に求めるのではなく、工事原価そのものであることを認識しなければなりません。

 共通原価直接費のコストダウンは並大抵ではなく、同、間接経費配賦額の削減は、直営施工を外注施工に切替る手法があります。外注施工の特徴は、共通原価の直接費である契約額の3.85%の削減は不可決でも、同、間接経費配賦額(除く現場代人賃金手当)の40.5%額がありません。併せて、直接工事費、仮設工事費、共通仮設費、現場管理費、共通原価の間接費、管理販売費等のコストダウンを計らねばなりません。

 売上総利益(粗利)から抽出される管理販売費は、非生産性(持出し及び出血受注)の完成工事高(売上高)でも増額すれば減少し、減額すれば工事原価が増額しますので、売上高に拘りますと、管理販売費は減少する反面、利益のでない資金繰りに奔走する填めになりますので注意が必要です。併せて、完成工事高に比例する管理販売費を完成工事高に求めない戦略的なノウハウを、口答でお教えしますので原稿には記載しておりません…。

 当研究所は、20数余年の歳月をかけ、実行予算管理表に対比する、全ての原価管理帳票が、貸借対照表(合計残高試算表)の棚卸し資産である未成工事支出金、損益計算書も同様に勘定科目毎は無論のこと、売上総利益に至る迄、一円の相違もなく合致する手法(特許)を考案、建設財務の電算化を推進し、原価管理育成の架け橋となるプロ集団と自負しております。

 私共も、建設業経営コンサルタントを生業としている関係上、関東地方の小零細建設業、約、千社に原価三表(実行予算管理表・未成工事進捗表・工事別損益計算書)の実体調査を行いましたが、決算期末に税法上、未成工事進捗表らしき帳票を税理士共々作成している会社は僅かに御座いましたが、原価管理に類する全ての管理帳票は無きに等しいのが現状であります。

 現実には、赤字決算にも拘わらず、会計業務の不的確が黒字決算に化けている会社も多々ある反面、黒字決算が赤字になる可能性も見逃せません。現実の収益を掴めぬ建設業の大半が、販売業の商業簿記で、会計業務を行う最大の欠陥が此処にあり、業種が異なれば簿記(経理)が異なり、簿記が異なれば原価が異なるのは、企業会計(経理)の必須条件であることを、建設業者は理解しておりません。

 製造業には工業簿記、建設業には建設業簿記、金融業には銀行簿記、林業には林業簿記、農業には農業簿記、漁業には漁業簿記、販売業には商業簿記が原則であるにも拘わらず、何故に建設業者は専業簿記の選択を怠り、製造業の工業簿記から主勘定を取り除き簡素化を図った、いわゆる商的工業簿記(不完全工業簿記)で建設財務を行うのでしょうか…。

 建設業の大半は、業種毎簿記の知的財産(知識)が希薄であり、習得する指導者にも恵まれぬので、何にかと言えば税理士と申しますが、制度会計の収益と費用の税計算が主である税理士は、僅かな顧問料で仕訳伝票の一枚々を精査するには至りません。

 建設業コンサルタントである私共も、建設財務の指導中、業種が異なる工事未払金(買掛金)の商品名は、材料費、工具・消耗品費、工具等の修繕維持費なのか判断が付かず、その都度使途を質問し、工事別実行予算管理表の、直接工事費、仮設工事費、共通仮設費、現場管理費、共通原価の直接費、同、間接経費配賦額等、どの表題に属する補助科目かを検証し、指導する必要があるからです。

 建設業を営む以上、原価管理は必須条件でありますが、その教育も受けない担当者が、直接現場経費の一部である、工事別材料費、工事別従業員賃金手当(先ず抽出不可能)工事別外注費、工事別仮設経費等、土木工事業に至っては、工事別機械損料等をただ単に羅列する、ドンブリ的な原価管理が収益基準であるならば、取り返しの付かない損失を招きます。

 積算は可能でも、自社の完工原価の至近数値すら解析出来ぬ建設業の大半は、官公庁の予定価格に惑わされ、ドンブリなる工事原価の錯覚が、叩きに走る無能な業者の為す技であり、適正価格で落札させる官公庁も、予定価格の範囲内である以上、ただ安ければと疑う程、不的確業者を好んで指名に入れる等、不況が生んだお役人様の成せる技かも知れません。

 建設業の大半は、工事を受注する積算と、完工原価が異なる現実を理解されておりません。昔から土を弄る業種程、やることなす事ドンブリと謂われる所以が此処にあります。従事員が一丸となり努力するにも拘わらずに何故に薄利なのか…!、こんなに税金を払うのか等々は、業種毎簿記の選択を疑う必要があります。

 国土交通省は、建設業の所轄省庁にも拘わらず、ドンブリ経営最大の商的工業簿記の会計業務を、建設業簿記に改める推進は疎か、原価管理の至近数値抽出セミナ−すら開催せず、余剰中小建設業、約、20万社の淘汰を試み、建設不況の脱皮を図ろうとしております…。

第三章:旧建設大臣認定科目とは…

 商的工業簿記と異なる建設業簿記の特徴は、主勘定の未成工事支出金、当期完成工事原価、建設仮勘定に補助科目を有し、(専業簿記以外補助科目無)原価科目である補助科目は、建設業法で限定され、工事毎に分類仕訳を行う原則があります。
 主なる貸借科目では、主勘定の売上高−完成工事高、売掛金−完成工事未収入金、買掛金−工事未払金等と若干異なりますが、管理販売費同様に、如何なる簿記も原価科目に値する補助科目以外に大差はありません。

 建設業の原価管理とは、建設業簿記で会計業務を行う以外に方法がなく、併せて、税法、労働基準法、建設業法を熟知する必要があります。労基法の一例として、休日の法定休日と社規休日の相違とは、週一回の日曜日に併せ、年末29日〜年始3日迄を法定休日(休日出勤35%割増)、以外の休日は社規休日と称し、週40時間の就業会社には休日出勤手当の割増はありません。時間外手当−時間外開始時刻−搬送残業等の計算分母となる月額賃金とは…。

建設業法に定められた建設原価主勘定と補助科目例
※.建設原価の直接費
(工事名は当該件名)
主勘定:未成工事支出金
01.材料費
02.従業員賃金手当
03.外注費
04.仮設経費
05.機械等経費(除・燃料費)
06.工具消耗品費
07.設計費
08.運搬費
09.租税公課
10.事務・消耗品費
11.動力用水光熱費
12.通信交通費
13.交際費
14.補償費
15.雑費
※.共通原価の直接費
(工事名が共通原価)
主勘定:当期完成工事原価
01.*****
02.従業員賃金手当
03.外注費
04.仮設経費
05.*****
06.工具消耗品費
07.設計費
08.運搬費
09.租税公課
10.事務・消耗品費
11.動力用水光熱費
12.通信交通費
13.交際費
14.*****
15.雑費
※.共通原価の間接費
(工事名が共通原価)
主勘定:未成工事支出金
01.従業員賞与
02.退職金
03.法定福利費
04.福利厚生費
05.機械等経費
06.労務管理費
07.減価償却費
08.地代家賃
09.保険料
10.修繕維持費





(*印は発生例がありません)


1. 未成工事進捗中
A.
未成工事直接現場経費

補助科目:
材料費、従業員賃金手当、外注費、仮設経費、機械等経費工具・消耗品費、設計費、運搬費、租税公課、事務・消耗品費、動力用水光熱費、通信交通費、交際費、補償費、雑費

工事名
主勘定
補助科目
○○○○○増築電設
未成工事支出金
材料費
B.
未成工事間接費配賦額

補助科目:
従業員賞与、退職金、法定福利費、福利厚生費、機械等経費(燃料費)、労務管理費、減価償却費、地代家賃、保険料修繕維持費、

工事名
主勘定
補助科目
共通原価の内
未成工事支出金
賞与〜修繕維持費
C.
完工共通原価直接費

補助科目:
従業員賞与、退職金、法定福利費、福利厚生費、機械等経費(燃料費)、労務管理費、減価償却費、地代家賃、保険料修繕維持費、



 建設業会計とは、一般企業会計に建設業特有の計算処理を加えた会計を申しますが、制度会計に連動した管理会計が最も望ましく、小零細建設業者は、原価管理の知的財産が希薄の為、制度会計を除外する管理会計は独走する畏れがあります。 何故に管理会計かと申しますと、従来の財務三票は無論のこと、原価三票である実行予算管理表、未成工事進捗表、工事別損益計算書(代人別)を基本とし、工事台帳兼損益計算書、顧客別損益計算書等は無論のこと、月次決算が可能になります。

 併せて、全ての原価管理帳票に一円の相違もなく合致する合計残高試算表の貸借対照表、損益計算書等、税務申告を目的とした会計業務から、戦略的経営を目指す企業会計になるからです。建設業者が建設業簿記以外で会計業務を行いますと、工事原価がアバウトになりそのアバウトに税金が掛かる欠陥が生じます。

(教材31頁:工事別未成工事進捗表、32頁:合計残高試算表の貸借対照表、33頁:工事別損益計算書、35頁:顧客別損益計算書、36頁:合計残高試算表の損益計算書)

 自社の完工原価至近数値の抽出は、自社以外には絶対不可欠なる現実を理解せねばなりません。併せて会計業務の大半は、前月同様の仕訳伝票を翌月に繰り返し入力しますので、類似仕訳伝票を検索し、複写する機能も絶対の条件になります。

 この儘では、建設業者の大半が、倒産廃業が終着駅の弾丸列車の乗客になりかねません。何故かと申しますと、長年に亘り習得した技術を礎に独立し、会社を起こせば、本人は経営者(社長)、経理も知らない奥様は経理部長になるからです。

 業種が異なれば簿記が異なるのは、企業会計の必須条件であり、現行の税法は、収益と費用が申告基準であるが故、業種毎簿記の選択には規制がありません。政府が煙草販売を許認可するにも拘わらず、年々喫煙場所がなく本人の意思に委ねるのと同様であります。(吸う吸わないは建設財務をやるやらないと同様である)

 本日のセミナ−参加者も建設業にも拘わらず、製造業の工業簿記から主勘定を取り除き簡素化を図った、いわゆる商的工業簿記(不完全工業簿記)で現金主義の企業会計を行っているのが大半では…。小零細建設業者が商的工業簿記で会計業務を行いますと、損益計算書(合計残高試算表)の当期建設原価計算内訳書欄に未成工事進捗中や完成工事の区別がなく全ての計数が合体し、主勘定欄に補助科目毎に表示しますので、決算期末でありながら詳細を精査する時間もなく、確定申告月迄に、決算報告書の作成だけで精一杯となるのが中小建設業の実体です。

 最も不思議な現象は、完成工事高(売上高)が未計上にも拘わらず、材料費、従業員賃金手当、外注費等の補助科目(原価科目)が発生し、決算期末に完成工事高(売上高)のない工事原価を、仕掛工事(仕掛品は工業簿記)として洗替をするようですが、工事完成基準にも拘わらず、出来高以上を請求する会社側と、少しでも減額する顧客側の出来高完工(本来未成工事受入金)を、完成工事高(売上高)とし計上しますので、不透明な税金を先払いする欠陥が業種外簿記の選択の誤りです。(教材37頁:工事別未成工事間接現場経費配賦率参照)

 そもそも決算期末迄、完工原価とされていた現場経費を、仕掛工事(工業簿記・本来未成工事支出金)に振替れば、完工原価が減額し収益の向上が計れる反面、以前の月次損益は全くの出鱈目となり、その時点迄収益が確定せぬ建設業者は、納税額の資金繰りを定量評価の金融機関(ほどんとが決算書)に奔走する等、未だ建設業はこのざまであるようです。

 確かに収益基準を工事完成基準で行いますと、出来高完工と異なり、完成工事高(売上高)は減少する反面、工事原価に値する構成比は的確し、返却不能な税金を先払いする可能性はなくなります。特に私共は未成工事、完成工事は問わずして、全ての現場経費を棚卸資産の未成工事支出金に、当該完成工事高(売上高)の計上後、初めて資産科目の未成工事支出金を当期完工原価の補助科目毎に振替る指導を行っております。

 時代の流れは完成工事高(売上高)ではなく、総資本営業利益率が経営の主流になり、当該出来高請求は、客先請求書の発行提出にも拘わらず、経理上の完成工事高は計上せず、入金時に工事毎に未成工事受入金(負債勘定)に計上しますので、決算期末に洗い替の必要は全くなく、アバウトな営業利益に不透明な税金を先払いする必要はありません。

 建設業の原価管理の起点とは、口答、或いは文書等で契約締結後に発生する現場経費から工事別原価管理帳表に記載する原則があります。契約前の引合現調、設計積算現調、設計積算図の作成、設計積算、夜業明休、振替休日、有給休暇、特別休暇等の賃金手当、有料駐車料等の仮設経費、トレペン、感光紙等の事務・消耗品費、携帯電話料、公共鉄道料等の通信交通費、交際費等を工事毎に分類不可なる現場経費を、共通原価の直接費と称し、補助科目毎に仕訳伝票を計上しますが発生月に全額損金となります。

 共通原価の賃金手当に属する、従業員賞与、退職金、法定福利費、福利厚生費、機械等経費、労務管理費、減価償却費、地代家賃、保険料、修繕維持費等を工事毎に分類不可なる現場経費を共通原価の間接経費配賦額と称し、補助科目毎に仕訳伝票を計上、未成工事支出金に加算しますが、当該月の完工原価配賦額は全額損金になります。

 未成工事進捗中は、工事別材料費、工事別従業員賃金手当、工事別外注費、工事別仮設経費、工事別工具・消耗品費、工事別設計費、工事別運搬費、工事別租税公課、工事別事務・消耗品費、工事別動力用水光熱費、工事別通信交通費、工事別補償費、工事別雑費等の直接現場経費に、間接現場経費である従業員賞与、退職金、法定福利費、福利厚生費、機械等経費、労務管理費、減価償却費、地代家賃、保険料、修繕維持費等の配賦額を加算し未成工事支出金と称します。

 完成工事後に未成工事支出金の間接経費配賦額を撤廃し、引合現調、設計積算現調、設計積算、夜業明休、振替休日、有給休暇、特別休暇等の現業員賃金手当、外注費、仮設経費、工具・消耗品費、設計費、運搬費、租税公課、トレペン、感光紙等の事務・消耗品費、動力用水光熱費、携帯電話料、公共鉄道料等の通信交通費、交際費、雑費等の共通原価の直間経費を加算し、工事毎に分類して工事別損益計算書(代人別)となります。

 建設業の原価管理の手法とは、最も重要な専攻型の実行予算管理表、守備型の未成工事進捗表、同、間接経費配賦率額表、顧客別未成工事管理表、共通原価直間現場経費配賦率額表、工事別損益計算書(代人別)工事台帳兼損益計算書、顧客別損益計算書、請求査定管理表、工事別・取引先別・勘定科目別・摘要別受払帳等の画面検収、帳票管理を原価管理と称します。

 パソコンの出現は、業務の流れを二極化し、原価管理は経理の副産物、コストダウンは現業とその目的と要因を明確にしました。工事担当者毎のアバウトな原価管理を不要にし、数百数千円の工事から数10億円の工事に至る迄、リアルタイムに完璧な工事別原価管理帳票の画面検収、帳票出力が可能になりました。

(教材38頁:工事別未成工事進捗表、40頁:合計残高試算表の貸借対照表、41頁:工事別損益計算書(A4)42頁:工事台帳兼損益計算書、45頁:工事別損益計算書、46頁:合計残高試算表の損益計算書)

 併せて、実行予算管理表が工事台帳兼損益計算書の副産物として、工種、取引先、勘定科目、款項目、積算原価、実行額、実行差益等の当該行に月次起工額が追従する等、実行予算管理表の作成参考資料となる、シミュレ−ションの起動理論が確立し、建設業最大の知的財産となるシステムの開発が待たれています。

 しかしながら、実行予算管理表、請求査定管理表、資金繰表等の予測情報は、現状のコンピュ−タ−では判断しかねますので、個別情報の入力は避けられません。
 特に工事毎の賃金手当の抽出は、並大抵ではなく、コンピュ−タ−の出現がこれを容易にしました…。

 建設業の経営者は、税法上の保管帳票でもある作業日報すら社員に記載させられぬ、指揮権消失者が大半のようです。自社の受注優先順位を、競争相手に夜の更けるのも忘れ説得した談合の全盛時、否認是認は別にして一対何を学んできたのでしょうか…。
 併せて建設業そのものが、パソコンの導入は疎か、未だ会計業務は手作業が主流のようです。

 各社各様の指定日に、経理担当者から工事担当者毎に原価管理帳票を出力し提出するのも、担当者毎に工事別原価管理帳票を経理課に依頼するのも自由になり、工事担当者は実行予算管理表の作成と、毎月必着する請求書から、当該工事別材料費等を抽出し、月次起工額を鑑みながら、如何にコストダウンを図るかが重大なる任務になりました。

 建設財務の知的財産を専門学校等で学びますと(実践では先ず使えない)授業料、人件費等を鑑み、システムの導入が最も経済的かと思われますが、世の中偽装品の氾濫であり、牛肉、菓子、寿司種、耐震構造計算はもとより、昨今は穀物類に至る迄、数え上げたら切りがありません。商業簿記の会計ソフトを建設業版、建設財務と偽り市販されていますが、売るやつも売るやつなら、買う側にも責任があります。

 弥生、縄文等の会計ソフトは、とにかく安く何でもありきの商的工業簿記で、販売管理の改造版、購入者に余程の知識がない限り、先ず建設業では使えません。
 最も不思議な現象は、建設業経理事務士の資格取得者が、何故に商的工業簿記で建設業会計を行うのか理解に苦しみます。業種毎簿記を無視する建設業経理事務士を、当研究所では「建設業経理無視士」と称し、呆れてものも謂えません。

 建設業の収益基準は、契約額が50億円、あるいは工期が(平成21年4月から10億円、一年以上)2年以上は工事進行基準、未満は工事完成基準が原則にも拘わらず、昨今は進行基準と完成基準が混在し、赤字の補填に活躍するざる法と謂われております。
 工事進行基準の出来高請求は、当該工事原価以上の完成工事高を原則とし、契約額以内の出来高の上限を無視したザル法の一例は、契約額が5億円、完工原価が1億円にも拘わらず、3億円の完成工事高(売上高)の計上が可能になっております。

 今般税法の改正に依りに欠損が生じた工事原価は、翌期以降の完成工事を待たずして、信頼出来る実行予算表を有すれば、期中損失が可能になりました。前期粉飾した出来高を、翌期信頼できる実行予算表を有すれば、損失計上が可能となる新税法は否認是認に拘わらず、実行予算管理表の重大さにご理解を戴けると思います。

 工事完成基準の出来高請求は、当該仕訳伝票に完成工事高(売上高)を計上せず、入金時に工事毎に未成工事受入金、完成工事高の計上後、未成工事受入金相殺過少金を完工未収入金として計上します。同一工事の完成工事高は、一件名に一度しか計上出来ない原則があり、複数の完成工事高(出来高)の計上は、工事進行基準であることを建設業者は理解せねばなりません。

 特に私共は、仕訳伝票の一枚々を精査し、資本的支出を損金計上する誤謬伝票、複写元となる期首月の基本デ−タの検証、仕訳伝票の複写機能を最大に活用する手法等、指導料を超える利益償還のノウハウがあります。

 決算後の経年検査、瑕疵担保等に類する工事名は、前期損益修正損欄の工事名に前期同様の工事名を作成し、主勘定は前期損益修正損とし計上せねばなりません。平成13年3月迄は、工事補償損失引当金が有りましたが、同年4月から賞与引当金、退職給与引当金、価格変動準備金同様に税法の改正に依り消失し、現在では貸倒引当金のみとなっております。

 工事進捗中の未成工事進捗表、完成工事後の工事別損益計算書(含む代人別)、顧客別損益計算書等の帳票は、契約金額−建設原価−売上総利益−管理販売費計が営業損益になります。同様の帳票でありながら、工事別、取引先別、勘定科目別に取引内容が一目瞭然の帳票を、工事別・取引先別・勘定科目別・摘要別受払帳と称しますが、全ての原価管理帳票は一覧式が最も望ましく思われます。

偽装品が建設財務にもたらす中毒症状と後遺症

1.
現金経費の領収確定年月日は、担当者毎の精算年月日を優先し、取引先毎の分類仕訳の原則を無視し、○○○○商店他とし纏めて計上する等、面倒くさがる傾向にあります。
2.
同日の単一伝票、複合仕訳伝票には境界がなく、同番号の連記式(家計簿同様)であり、検収修 正に想像以上の時間が掛かります。偽装品の有経者には二度と指導はしたくない、そんな思いが鬱病になりかねません。
3.
仕訳伝票の勘定科目は、何故にこの勘定科目が選択されるのか、摘要では判断できません。仕訳伝票は、上司、税理士、税務調査員等が精査する概念が全くないようです。
4.
工事名の選択後、直接現場経費以外の勘定科目が表示されるのか、共通原価の知識も機能も無く、間接経費配賦額の車輌燃料費、車検修繕費、保険料等、一般管販費の諸会費等に至る迄、工事名が登録される等、唖然とする以外に言葉もありません。
5.
雇用保険確定保険料(前年4月〜当期3月迄)の仕訳伝票に前払費用は疎か、預り金もなく、損金科目の法定福利費、労働保険も同様に概算予定申告保険料の前払費用(資産科目)が損金科目の法定福利費であるように、その癖はその後の指導に可成りの影響が発生します。


 未成工事進捗中は、棚卸し資産同様の資産科目であり、工事毎の主勘定が未成工事支出金、補助科目は旧建設大臣認定科目に至っております。竣工引渡し後に完成工事高(売上高)の計上後、主勘定の未成工事支出金が、当期完成工事原価に変貌し、補助科目は無変の儘、資産科目から損金科目(原価科目)に移行します。

 発生主義が原則である建設業は、未成工事進捗中は間接現場経費配賦額迄であり、完成工事後に当期完成工事原価(含む共通原価直間接経費配賦額)で分類仕訳を行いますので、決算期末の仕掛工事(製造業の仕掛品、建設業の未成工事支出金)と称する洗い替えの必要はありません。

第四章:共通原価直間経費配賦理論とは囲み…

 建設原価には、直接現場経費と共通原価に二分され、共通原価には直接費と、同、間接経費に細分され、この三科目を建設業の三大現場経費と称します。共通原価の直間経費配賦額は毎月必ず発生し、完成工事高の有無に拘わらず、共通原価の直接費とそれに付随する共通原価の間接費は発生月に全額損金となり、以外の配賦額は未成工事繰越額と未成工事支出金に配賦留保されます。

 この共通原価配賦理論が未成工事進捗表、工事別損益計算書等の勘定科目毎計が、合計残高試算表に一円の相違もなく合致する、建設業特有の計算式になります。
 共通原価直接費の一例として、損益計算書の当期完工原価計を全ての工事原価帳票の勘定科目計で対比しますと、共通原価の直間経費配賦額のみ違算が生じます。

 この違算額を合計残高資産表に合致させる建設業特有の計算式を共通原価の直接費、同、間接経費配賦理論と称します。共通原価直接費の配賦計算式は、共通原価直接費補助科目÷当期完成工事高(売上高)×工事別完工原価補助科目となります。

 当該合計残高資産表の共通原価の直接費計に充たない完成工事高が発生しますと、当該工事名に全額共通原価直間経費配賦額が加算しますので、全ての工事別原価管理帳票は大幅な損失が発生します。

 共通原価の間接費は、未成工事繰越額、共通原価発生額、未成工事支出金、当期完工原価に分類され、未成工事支出金、完成工事高の計上後、合計残高資産表の当期建設原価補助科目から、未成工事支出金の補助科目に応じ、損金科目から資産科目に振替ます。その帳票名と計算式を工事別未成工事間接経費配賦率表(配賦理論)と称します。

 共通原価間接費の配賦計算式は、未成工事賃金手当+当期完成工事賃金手当+共通原価賃金手当の合計額を、共通原価間接経費補助科目÷未成工事間接経費の補助科目毎に乗算(×)します。共通原価直接費の仕訳伝票の工事名は共通原価、主勘定は当期完成工事原価、補助科目は材料費〜雑費に至っております。同じ賃金手当でありながら、契約締結後の実行積算賃金手当、実行予算管理表等の作成賃金手当は、当該工事名の賃金手当になります。

 共通原価の賃金手当に属する、社会保険料等の法定福利費、同、賞与、退職金、福利厚生費、機械等経費、労務管理費、減価償却費、地代家賃、保険料、修繕維持費等の配賦額は未成工事進捗中に限り、間接現場経費配賦率額と称し、共通原価の間接経費配賦額とは申しません。

 共通原価間接費の仕訳伝票の工事名は共通原価、主勘定は未成工事支出金、補助科目は下記勘定科目毎に計上し、同じ間接経費配賦額でありながら、未成工事進捗中は間接経費配賦額、完成工事後は共通原価の間接経費配賦額と呼称が異なりますので注意が必要です。弊所顧問先共通原価の直接費は、契約額の約3.85%率額、同、間接経費配賦額は、完工原価賃金手当の約40.50%率額が平均値であります。

 共通原価の一例として、契約額を1億円、直工賃金手当を、3,000万円と仮定するシミュレ−ションは、共通原価直接費が契約額の3.85%の385万円、同、間接費が完工原価賃金手当40.50%の12,15万円が、実行予算管理表に未計上ともなれば、合計1600万円(16%)が工事別損益計算書に違算が生じ大幅な損失を招きます。

 この損失こそ共通原価直接費、同、間接経費配賦額の欠落であり、粗利30%の捻出は可能でも、共通原価の直間経費配賦額が16%、残額が14%では管理販売費すら賄えないのが小零細建設業の原価管理の実態です。自社の共通原価の直接費、同、間接経費配賦額、管理販売費の構成比を毎年認識し、翌期の実行予算管理表、工事原価管理帳票等に反映させる必要があります。


工事名
主勘定
補助科目
共通原価の内
当期完成工事原価
材料費〜雑費
D.
完工共通原価間接費

補助科目:
従業員賞与、退職金、法定福利費、福利厚生費、機械等経費(燃料費)、労務管理費、減価償却費、地代家賃、保険料修繕維持費、

工事名
主勘定
補助科目
共通原価の内
当期完成工事原価
賞与〜修繕維持費


工事別当期完成工事原価
共通原価・配賦額
平成19年10月現在



※.共通原価の発生額は、前期工事別未成工事繰越額、共通原価発生額、未成工事間接 現場経費配賦額、工事別完成工事配賦額を、勘定科目毎にプ−ル集計、工事別未成 工事進捗中、工事別完成工事後の画面検収、帳票プリント時に建設業特有の計算式で瞬時に配賦排出します。

※.共通原価の直接費、一般管理費及び販売費は、完成工事高が増額すると減少し、減額すると増額します。共通原価の間接経費配賦額も同様に建設原価員の賃金手当が増額すると減少し、減額すると増額します。


(実績率:前期実績率12/12、当期率:決算終了後03/12、実行率:前期解析当期予測率)


 高名なソフトメ−カ−の原価理論には、共通原価の直接費はなく、共通原価の間接費を共通費の配賦額と称し、契約額、材料費、賃金手当、外注費、機械等経費の勘定科目から、自由に選択が可能とのことですが、経理担当者が異なれば、何故に工事原価が異なるのでしょうか…。工事原価管理上、担当者毎に選択権のない工事原価理論でなければなりません。

第五章:実行予算の確率とその手法とは…

 今後の建設業の動向は、工種別実行予算管理表の確率と、工事別原価管理(工事別損益計算書)の把握をしなければ、建設業そのものが成り立たない時代の到来です。資本家に利益配当を目的とする企業経営も、一般管理費販売費を捻出するのが精一杯の時代になりました。幸い小零細建設業者は、資本家が経営者を兼ねていますので、如何なる現況でも、一般管理費販売費を捻出する手法が必要であります。

 特に私共は、専攻型工種別実行予算管理表に、月次起工額を追従させ、予算額との対比を最大の目的としております。工事別原価管理の推進に鑑み、従来の商的工業簿記の会計業務(経理)を、建設業簿記の管理会計に改めねば、実践可能なる工事別原価管理は不可決との認識を得ました。

 併せて合計残高資産表の貸借対照表、損益計算書、同、決算報告書等の当期完成工事原価が補助科目毎に一円の相違もなく合致する、建設業特有の原価管理が確率されます。しかしながら、確率されるにしてもあくまでも結果であり、竣工後の想わぬ赤字には、粉飾決算を余儀なくされる等、専攻型工種別実行予算管理表以外に、赤字の要因を検証する術はありません。

 工種別実行予算管理表に管理販売費、営業利益を計上し、受註に挑むのが正道でありますが、官公庁等の一般競争入札には、売上総利益迄の構成比(%)を検証し、受注するか否かを検討する必要があります。

 自社の完工原価の至近数値すら解析出来ぬアホな建設業者(余剰建設業20万社)が競争相手では、一般管理費及び販売費並に適正利益までを見込みますと、まず受注にありつけません。結果的に現業員が遊ばないより益し程度で、連続三件の破格受註ともなりますと、必ず零細建設業者は倒産廃業の浮き目を視ます。